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ご飯が先か、お風呂が先か、その順番に隠れた癖

ご飯が先か、お風呂が先か、その順番に隠れた癖

この記事でわかること

  • お風呂が体の中の温度を大きく上下させて眠気を作ること
  • 入浴から寝るまでの間隔が寝つきの速さを左右すること
  • 順番の好みより、逆算した間隔の方がコントロールしやすいこと

⏱ 読了 約6分 / 🔬 根拠の信頼度: 中

夜10時、帰宅してソファに一度沈むと、もう立ち上がるのが億劫になりますよね。冷蔵庫とお風呂場、どっちに先に足を向けるか。今日は「先にご飯」だったか、「先にお風呂」だったか。その一瞬の迷いの中に、実は自分の体を動かす小さな癖が隠れています。

体温が2度動くとき、体の中で起きていること

 

夜になると、体の中の温度は自然に少しずつ下がっていきます。この下がり方が急なほど、眠気が強く出やすいことが分かっています。

お風呂に入ると、体の中の温度は一時的にぐっと上がります。そのあと体は「温度を戻さなきゃ」と反応して、手や足の血管を広げて熱を外に逃がそうとします。これが、湯上がりに手足がじんわりぽかぽかしてくる感覚です。

 

この「上がってから下がる」という動きが、就寝前のタイミングにぴったり合うと、寝つきを早める方向に働きます。逆に言えば、順番よりもこの上下動をいつ起こすかが大事だということです。

お風呂派の体内シナリオ:急上昇のあとの急降下

 

40度から42.5度くらいのお湯に10分ほど浸かると、体の中心の温度が上がります。そのあと手足の皮膚の温度が上がり、体の中心と手足の温度差がはっきり大きくなります。この温度差が大きいほど、熱がうまく外へ逃げているということになります。

72歳前後の高齢者1094人を対象にした調査では、お風呂に入ってから寝るまでの間隔を「1〜60分」「61〜120分」「121〜180分」「181分以上」に分けて比べています。すると、61〜120分と121〜180分のグループで、寝つきまでの時間がはっきり短くなっていました。同じグループで、就寝前30分の手足と体の中心の温度差も、他のグループより大きく開いていました。

 

つまりお風呂は、入るタイミングを間違えなければ、寝つきを後押ししてくれる装置になります。

ご飯派の体内シナリオ:じわじわ長く続く産熱

 

お腹が空いていると、湯船に浸かっている間も頭のどこかで晩ご飯のことを考えてしまいますよね。だから先にご飯、という人も多いはずです。

ただ正直に言うと、ご飯そのものが体の中の温度をどう動かすかについては、ここで見ているお風呂の調査ほどはっきりした数字が出ているわけではありません。分かっているのはお風呂側の動きが強くて分かりやすいということです。

 

ご飯を先にするか後にするかで、寝つきの良し悪しがくっきり分かれるという証拠は、今回見た範囲にはありません。

だから「ご飯を先に食べる派」を責める理由はどこにもありません。ただ、お風呂の位置がずれると、寝つきへの効き方が変わってくることは、はっきり分かっています。ご飯を先に食べる人ほど、お風呂の時間が食後にずれ込んで、寝る直前になりすぎたり、逆に早すぎたりしやすいので、そこだけ気をつける価値があります。

順番より効くのは『間隔』という変数

 

先ほどの調査でもう一つ面白いのは、間隔が短すぎても長すぎても効果が薄れていたことです。寝る直前(1〜60分前)に入ったグループと、3時間以上前(181分以上前)に入ったグループでは、寝つきの短縮ははっきり出ていませんでした。

効いていたのは、寝る1〜3時間くらい前という「ちょうどいい窓」に入浴が収まったときだけです。別の集まったデータをまとめた分析でも、40〜42.5度のお湯に10分ほど浸かって、就寝の1〜2時間前に済ませると、寝つきが早まり、眠りの質の自己評価も良くなる傾向がまとまっています。

 

お風呂とご飯、どっちを先にするかより、お風呂を寝る何分前に置くかの方が体には効きます。

順番はどちらでも構いません。大事なのは、お風呂の位置を「寝る1〜2時間前」の窓に収めることです。

順番より効くのは『間隔』という変数

今夜の一手:逆算タイマーを作る

 

順番を毎日入れ替える必要はありません。むしろ毎日同じ順番でいい代わりに、寝る時間を先に決めて、そこから逆算してお風呂の位置を決める、という発想に切り替えるのがおすすめです。

  1. 寝たい時間を決めます。たとえば夜12時なら、そこから1時間半戻って、夜10時半をお風呂の目安にします。
  2. スマホのアラームを、その時間にセットしておきます。「そろそろお風呂」の合図を、頭で覚えるのではなく機械に任せます。
  3. ご飯は、その前でも後でも好きな順番で構いません。お風呂の位置だけ固定します。

この方法なら、帰宅してソファに沈み込んでも、迷う時間そのものが減ります。「どっちが先か」で毎晩考える代わりに、アラームが鳴ったらお風呂に向かうだけです。

お風呂の位置を寝る1〜2時間前に固定するだけで、順番の迷いはかなり減ります。

ご飯とお風呂、どっちを先にするかは好きな方でいいと思います。ただお風呂だけは、寝る1〜2時間前という窓に収めてあげると、体の中の温度がちゃんと仕事をしてくれます。順番の癖に一喜一憂するより、逆算のアラームひとつで済む話です。

※ 紹介した調査は主に高齢者を対象にしたもので、若い世代でも同じ間隔がそのまま当てはまるとは限りません。また食事そのものが体の中の温度をどう動かすかについては、今回参照した研究では直接検証されていません。

出典: Journal of clinical sleep medicine : JCSM : official publication of the American Academy of Sleep Medicine · https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33645499/
Sleep medicine reviews · https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31102877/

※医学的な診断・治療に代わるものではなく、効果には個人差があります。