
この記事でわかること
- 本当に5時間で足りる人はどれくらい珍しいのか
- 遺伝子が決める睡眠時間の個人差の正体
- 削る代わりにできる、現実的な一手
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夜0時過ぎ、明日の資料をまだ仕上げてる時間。スマホの睡眠記録を見て「今日も5時間でいけるでしょ」って思ったこと、ありませんか。実はその感覚、体の仕組みの話としてちゃんと調べられています。
「自分だけは大丈夫」という思い込みの正体
資料の仕上げが終わらない夜、時計を見て「明日も5時間でいけるでしょ」と思う瞬間。誰にでもある感覚だと思います。昨日も乗り切れたから、今日も大丈夫。そう考えるのは、そんなに不自然なことじゃありません。
ただ、この「自分は平気なタイプ」という感覚、実際に体の中で何が起きているかを調べてみると、話がぜんぜん違ってきます。短い睡眠で本当に平気な体質は、想像しているよりずっと珍しいものだったんです。
遺伝子が決める睡眠時間の個人差
もともとこの話のきっかけは、6時間の睡眠で毎日ちゃんと動けてしまう家族が見つかったことでした。この家族には、DEC2(別名BHLHE41)という、体の中の時計に関わる遺伝子に変化がありました。
その後、この変化が他の人にもあるのかを確かめようと、寝不足の影響を調べる場に参加した200人と、慢性的に睡眠を削られる状況を経験した217人、合わせて400人以上を調べています。かなり大がかりに探したわけです。
結果として見つかったのは、二卵性の双子のうち片方だけが持っていた、ある変化でした。この人はもう片方の双子より睡眠時間が短く、寝不足のあとの「取り返しの睡眠(回復睡眠)」も少なくて済み、作業中のミスも少なかったんです。それでも、深い眠り(ノンレム睡眠)の量そのものは、双子の片方と片方でほとんど同じでした。
つまり眠りの質を落として時間を削っているわけじゃなく、必要な深い眠りはきちんと確保したまま、全体の時間だけが短くなる仕組みが体の中で動いていたということです。
稀少な体質と、単なる睡眠不足の違い
この遺伝子の変化が持つ意味は、ハエを使った実験でさらに見えてきます。人と同じ変化を持つ遺伝子をハエの神経に入れると、ハエの睡眠時間は減りました。ここまでは想像通りです。
面白いのはその先で、睡眠が減ったハエのほうが健康で、寿命まで延びていたことです。細胞の中でエネルギーを作る部分(ミトコンドリア)の働きが良くなっていて、ストレスに対処する仕組みも活発になっていました。
短く眠って平気に見えるのは、体の中の作りそのものが変わっているからで、頑張って耐えているわけではないんです。
ここが、ただの寝不足と決定的に違うところです。普段5時間睡眠を続けている人の体の中で、こうした仕組みの変化が起きているわけではありません。ミスが減らないのに減っている自覚がないだけ、というのが、たいていの「自分は平気」の正体です。

今日からできる自己診断の一歩
400人以上を調べて見つかった、本当に体質として短く眠れる人は、ほんの一握りでした。ここから考えると、自分がその稀な例外に当たっている可能性は、かなり低いと見ておいたほうが自然です。
だからといって、無理に7〜8時間を確保しなきゃと気合を入れる必要もありません。時間を増やす代わりに、変えやすいところから手をつけるほうが現実的です。
- 寝る時刻を毎日ほぼ同じにする。時間の長さより、いつも同じタイミングで体を横にすることのほうが、体の中の時計には効きます。
- 寝る前の一時間は、画面の光を視野に入れる時間を減らす。スマホを見る位置を離すだけでも変わります。
- 寝る場所と仕事をする場所を分ける。ベッドの上で資料を見ない、それだけでも切り上げの合図がはっきりします。
削る決断をする代わりに、いつ眠るかを固定する。これだけで、明日の自分にかかる負担はだいぶ違ってきます。
5時間睡眠で平気な体質は、確かに存在します。ただそれは、大がかりに調べても一握りしか見つからないくらい珍しいものでした。自分がその一人だと決めつけるより、寝る時刻を固定するほうが、今日からできる一番現実的な手です。
※ 紹介した遺伝子の変化はごくわずかな人にしか見つかっていません。睡眠時間を削っても平気だと感じる場合でも、それがこの体質によるものかどうかは、この記事だけでは判断できません。
出典: SLEEP · https://doi.org/10.5665/sleep.3924
europepmc.org · https://europepmc.org/article/MED/40989023