
この記事でわかること
- 他人と比べる評価と過去の自分と比べる評価は、心の反応がまったく違う
- 「他人と比べたい気持ち」は消せない。でも見る順番は変えられる
- 評価面談を自分で先回りして編集し直す、具体的なやり方
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同期の評価と自分の評価が、同じメールの中に並んでいる。開く前に、もう心臓がざわつく。これ、気のせいじゃなくて、けっこう体に染みついた反応なんです。じゃあどうすればいいのか、順番だけ変える話をします。
評価の「基準」が違うと同じ結果でも心が変わる
同期の評価と自分の評価が並んで届くメール。数字は同じでも、見る基準がひとつ違うだけで、心の中で起きることはけっこう変わります。
ひとつは「他人と比べる」基準。もうひとつは「前の自分と比べる」基準です。この二つ、実は育ってきた時期がぜんぜん違うことがわかっています。
4歳から8歳までの子ども840人を見た調査では、他人と比べて自分を評価する力は、かなり小さいころからすでに働いていました。4〜5歳の子でも、他の子よりできたかできなかったかで、自分への評価をはっきり変えていたそうです。しかも他人に負けたと感じると、どの年齢でもやる気がすぐに下がっていました。
一方で、前の自分と比べる見方は違いました。小さい子はそもそも「さっきの結果」しか見ておらず、今と前を並べて比べること自体が、年齢が上がるにつれて少しずつできるようになっていくものだったんです。
つまり、他人と比べてザワつくのは、かなり早い段階から体に入っている自動の反応です。
それに対して、自分の過去と比べる見方は、あとから育つ、いわば後天的に鍛える力に近いものでした。
自己参照フィードバックが効く場面・効かない場面
「他人より前に出たい」という気持ちを持つこと自体は、悪いことじゃありません。ただ、それを人前に出すと、思わぬ形で評価が下がることがあります。
大学生を対象にした調査では、自分の成長を目指す姿勢を見せる人は、好かれやすいし、成功しそうだとも思われていました。一方で、他人に勝つことを目指す姿勢を強く見せる人は、成功しそうだとは思われるものの、好感度のほうは下がっていたんです。
他人との比較を前面に出すと、実力は認められても、人としての印象は少し損をする。これ、けっこう面白いひねりだと思います。
職場のフィードバックについても、似たような話があります。上司と部下202組を見た調査では、フィードバックの中身がちゃんとしていると感じられるほど、部下はそれを役に立つと思い、自分から情報を取りに行くようになり、自分の役割もはっきりして、結果として成果も上がっていました。
ここで大事なのは、成果を押し上げていたのは「他人より上か下か」の情報じゃなくて、「自分が今どこにいて、何をすればいいか」がわかる情報だったということです。
他人と比べる基準は一瞬で心を動かし、自分の過去と比べる基準はゆっくり行動を変えます。
職場の評価面談を自分で編集し直す方法
会社の評価面談って、たいてい他人との比較が先に来る作りになっています。同期の評価、部署内の順位、査定のランク。これを先に見てしまうと、心はもう他人モードに切り替わってしまいます。
ここでできる一手は、シンプルです。順番を変えるだけ。
- まず先月・先期の自分の数字だけを紙に書き出す
- それから今回の自分の数字を並べて、増えたか減ったかを見る
- その後に初めて、同期の数字やランクに目を通す
他人の成功を見なかったことにする必要はありません。ただ、最初に自分の過去を見ておくと、他人の数字を見るときの心のスタート地点が変わります。
比べる相手が変わるだけで、同じ数字でも受け取り方はけっこう変わるものです。

他人の点数を見る前にやる30秒のチェック
メールを開く直前、こんな30秒を挟んでみてください。
たったこれだけですが、最初に目に入る情報が「他人の順位」から「自分の続き」に変わります。
他人と比べる力は、なくそうとしても消えません。小さいころからずっと働いてきた仕組みだからです。
だからこそ、消そうとするより、順番の後ろに回す。それくらいの調整が、現実的にできる範囲だと思います。
他人の成功が気になるのは、心が壊れているからじゃなくて、ずっと昔から働いている普通の反応です。それを無理に消そうとするより、先に自分の続きを見る。順番をひとつ変えるだけで、同じメールの開け方が変わってきます。
※ 紹介した調査は子どもの発達を見たものと、大学生・職場の社会人を対象にしたものが混ざっています。年齢や状況が違う調査をつなげて読んでいるため、誰にでもそのまま同じように当てはまるとは言い切れません。
出典: Child Development · https://doi.org/10.1111/j.1467-8624.1998.tb06160.x
Human Performance · https://doi.org/10.1080/08959285.2012.658927
Journal of Personality and Social Psychology · https://doi.org/10.1037/a0012824