
この記事でわかること
- 「もったいない」が判断を狂わせる理由
- 時間を惜しむ気持ちは、お金と同じくらい強い
- 続けるかどうかを、罪悪感なしで決める問いかけ
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夜、参考書を積んだ机で「ここまでやったし、いまさらやめられない」って、ページをめくる手が止まらないこと、ありますよね。その感覚、ちゃんと研究でも出てくるんです。今日は、その正体を知って、罪悪感なく手放す話をします。
「もったいない」が、判断を狂わせるとき
資格試験の参考書、もう半分以上読んでますよね。でも正直、今の目標とはズレてきてる気がする。それでもページをめくる手が止まらないのは、意志が弱いからじゃありません。
もう使っちゃったお金や時間を惜しんで、それを取り返そうとするあまり、割に合わないことを続けてしまう。この動きは、98件もの実験を集めた研究で、何度も出てきています。お金の実験でも、努力や時間の実験でも、同じでした。
もったいない気持ちは、これから得するかどうかの材料にはなりません。
ただ、過去に払ったものへの未練なんです。参考書に使った3時間は、もう戻ってきません。今夜もう1時間足すかどうかは、まったく別の話です。
時間を惜しむ気持ちは、お金より厄介かもしれません
お金を失うのと、時間を失うのとでは、感じ方が違う気もします。でも研究者たちは、ハトと人間を使った、ちょっと変わった実験でこれを見ています。
短い作業で終わるはずが、途中から急に長くなる。そのとき「今のうちに切り上げるか、このまま続けるか」を選ばせる実験です。
ハトは、切り上げるサインがはっきりしないと、長くなった作業に居座り続けてしまいました。人間でも、負担の増え方がゆるやかだと、同じように居座ってしまうんです。
時間は、目に見える金額みたいに数えにくいぶん、気づかないうちに引きずられやすいのかもしれません。
ただし、救いもあります。同じ研究のなかで、実際に使うかどうかを決める場面に限っては、時間が経つほどこだわりが薄れていくことも出てきます。粘っているうちに、案外あっさり熱が冷めることもあるんです。
「続けるか」と「始めるか」は、別の質問にする
ここでひとつ、面白い研究があります。うまくいきそうにない計画に対して、人には二つのタイプがある、という話です。
過去のことをくよくよ振り返って、なかなか手放せない人は、「もったいない」に引っかかりやすい。反対に、切り替えが早くてさっと次に進める人は、ほとんど引っかかりません。
生まれつきの性格だと言われると困りますが、もっと単純に使えます。頭のなかで「振り返る質問」と「これから選ぶ質問」を、わざと分けてしまえばいいんです。
やり方はこうです。
- 「今までこれにどれだけ時間を使ったか」は、一旦忘れる
- 「もし今日、まっさらな状態からゼロで選ぶとしたら、この習慣を選ぶか」だけを自分に聞く
- 答えがノーなら、それはもう積み重ねじゃなくて、ただの持ち出しです
やめた時間は、消えるわけじゃない
先延ばしの大きな研究では、7400人分のデータから、人がいつ先送りするかを見ています。
やるべきことが今から遠いほど、やろうと思っていたことと、実際にやったことのズレは大きくなります。
逆に言うと、目の前の誘惑や近い期限には、人は案外ちゃんと反応できます。だから「今日この瞬間、この習慣を続けるかどうか」という、近い問いに変えてしまうのがいちばん効きます。
やめると決めた瞬間、その時間がゼロになるわけじゃありません。空いた1時間、空いた3時間は、明日の自分にそのまま向け直せます。
見切りをつける、というと冷たく聞こえます。でも実際は、戻ってきた時間を次にどこへ置くか決めるだけの、わりと前向きな作業です。

大事な決断ほど、シンプルな問いに頼ってみる
ここまで読んで「そうは言っても、大事な決断だからこそ迷う」と思う人もいるはずです。実は、そこにも研究があります。
大事な選択ほど、自分の感覚や、積み重ねてきた過去に頼りたくなる。でも、それこそが「もったいない」に足をすくわれる入り口なんです。
ポイント
だからこそ、大事なときほど、問いをひとつに絞ったほうが楽なんです。
もったいない気持ちに振り回されやすいのは、若い頃のほうだという結果もあります。年齢を重ねると、引っかかりにくくなる。今うまくできなくても、これから上手になっていく余地はあります。
今夜、机の上の参考書を見て、3分だけ使ってみてください。積み上げてきた時間の量じゃなく、明日からの自分がどこに時間を置きたいかだけを、静かに聞いてみてください。
もったいない気持ちは、過去への律儀さであって、明日をよくするための材料じゃありません。答えがノーなら、それは見切りじゃなくて、これからの時間の置き場所を変えるだけです。
※ 紹介した研究の多くは、お金や単純な作業課題を使った実験で、資格勉強のような長く続く習慣そのものを直接調べたわけじゃありません。日常の習慣にあてはめるときは、一つの手がかりくらいに考えてもらえたらと思います。
出典: BuR - Business Research · https://doi.org/10.1007/s40685-014-0014-8
Journal of the Experimental Analysis of Behavior · https://doi.org/10.1901/jeab.2005.21-04
Judgment and Decision Making · https://doi.org/10.1017/s1930297500002011
PLoS ONE · https://doi.org/10.1371/journal.pone.0278751
Frontiers in Psychology · https://doi.org/10.3389/fpsyg.2018.00327